2020/03/04
ホンダ フィリピンの四輪工場閉鎖へ
本田技研工業は2月22日、フィリピンの現地法人であるホンダ・カーズ・フィリピン(HCPI)がソウン島中部ラグナ州サンタロサ市にある四輪組み立て工場を閉鎖することを発表した。
同工場は1992年2月から操業を開始し、閉鎖は3月25日を予定していて28年間で幕を閉じることとなった。
同工場では小型セダン『シティ』と小型SUV『BR-V』の2タイプを生産し、年間の生産能力は3万台だが、国内の売れ行きははかばかしくなく、2019年の生産は約7000台に留まっていた。
また、フィリピンの日系自動車メーカーの中ではトヨタが圧倒的に強く、三菱、日産と続きホンダは四番手に低迷し人気は今一つ冴えなかった。
本田本社のこの決定は世界的な生産の見直しの一環でもあり、イギリス、トルコ、アルゼンチンなどの同社組み立て工場の閉鎖が行われる予定。
HCPIの閉鎖によって同工場の直接雇用労働者約380人は解雇される予定で、唐突な閉鎖発表によって解雇される労働者側は猛反発をし、法的手段に訴える動きが出ている。
一方、四輪車工場は閉鎖するものの、国内需要が旺盛な二輪車の生産は続け、3月から新規モデルを生産する予定で、生産台数は年間13万台を見込んでいる。
ホンダのこの決定はフィリピンに進出している他の日系メーカーにも影響を及ぼしていて、フィリピン政府が自動車メーカーの現地生産優遇策の見直しを求めている。
フィリピンの現地優遇策は20年ほど前の自動車開発計画(MVDF)と最近策定された包括的自動車産業振興戦略(CARS)の2つがあるが、CARSは生産台数や現地調達部品基準などが厳しく申請数は少ない。
このため政府はMVDPを現在の実情にあった見直しを検討しているが先行きは不透明である。
今回のHCPI四輪工場閉鎖はフィリピン政府が世界貿易機関(WTO)に完成車の輸入制限調査をすると通知した直後でもあり、国内産業を保護するあまり肝心の生産工場が逃げてしまったとの見方も強く、政府の見通しの甘さも指摘されている。
この調査はフィリピン金属加工業者連盟(PMA)が業界保護を狙って要請していたもので、PMAはフィリピンの完成自動車輸入が、2018年には21万台と増加し、そのために国内企業の設備や稼働率が低下し、雇用に影響が出ていると主張している。
参考文献:DIGIMA